肘の痛みを引き起こす原因のひとつには、テニス肘が挙げられます。名称から誤解されがちですが、テニス肘はテニスをしていない方も発症するポピュラーな症状です。本記事ではテニス肘のメカニズムや症状、治療法の基本、そして予防法までわかりやすく解説します。
テニス肘とは
テニス肘とは、肘に負担をかける動きをしたときに痛みが出る症状を指します。安静時に痛みが出ることはほぼありません。しかしタオルを絞ったり、重いものを持ち上げたりしたときに、肘の外側を中心とした前腕に痛みが出る特徴があります。
テニス肘の主な症状
テニス肘の主な症状をリストアップしましたので、ご覧ください。
<テニス肘の主な症状>
- タオルを絞る動作をしたときに痛む
- フライパンなどの重いものを持ち上げたときに痛む
- ドアノブをひねったときに痛む
- テニスやゴルフなど、スポーツをしている最中に痛む
- ペットボトルの蓋を開けたり、コップを持ったりすると痛む
- 手首にスナップをきかせると痛む
こういったシーンで痛みを感じる場合、テニス肘を疑いましょう。
テニス肘を発症する主な原因
テニス肘を発症する原因は主に以下の3つです。
<テニス肘を発症する主な原因>
- テニスなど肘に負担がかかるスポーツのやりすぎ
- 仕事による肘の酷使
- 加齢などその他の原因
痛みを発生させるメカニズムについて、わかりやすく解説します。
①テニスなど肘に負担がかかるスポーツのやりすぎ
名前のとおり、テニスなどのスポーツをする機会が多い人ほどテニス肘を発症しがちです。ラケットを振ってボールを打つと、インパクトの衝撃は手首から肘の付け根にまで広がります。この動作を何度も繰り返すことで肘の付け根が炎症を起こし、慢性的な痛みを引き起こすのです。
テニス以外では、ゴルフやバドミントン、卓球などの腕や肘を良く使うスポーツがテニス肘を発症させやすいと言われています。これらのスポーツを週に3回以上行う人はテニス肘の発症率が高いとされ、健康を維持するためには適切なケアと治療が必要です。
②仕事による肘の酷使
スポーツだけでなく、仕事による肘の酷使もテニス肘の原因となります。たとえば料理人のように手首のスナップをきかせることが多い仕事や、頻繁に手を使う大工、重い荷物を運ぶ運送業に携わる方などは、テニス肘に注意する必要があります。
③加齢などその他の原因
テニス肘を発症するケースは、30代以降の女性に多いとされています。加齢によって、肘部分の筋力や腱が弱まることが原因として考えられます。また女性は男性と比べて元々の筋肉量が少ないことや、家事などを通じて腕・肘を使う頻度が多いことも原因とされています。
テニス肘の治療方法
テニス肘の主な治療方法は、症例に応じて以下の4つに分かれます。
<テニス肘の治療方法>
- 痛み止めを使った薬物療法
- 温熱療法やレーザー治療による理学療法
- 外科手術
- ストレッチなどのセルフケア
順番に解説していきましょう。
痛み止めを使った薬物療法
薬物療法では、痛み止めを使います。鎮痛効果のある内服薬を使ったり、患部に湿布を貼って炎症を抑えたりするなどの治療を行います。また急性期で強烈な痛みを伴う場合などには、ステロイド注射を用いる場合もあります。
温熱療法やレーザー治療による理学療法
温熱療法やレーザー治療を行う理学療法もあります。薬物療法と比べて即効性では劣りますが、痛みの原因そのものを減らす治療ができるため、根本改善に期待できる点がメリットです。薬物療法では副作用を伴うケースがありますが、理学療法ではその心配がないこともポイントです。
外科手術
上記の方法で改善できないほどの重症例では、外科手術を行う場合があります。筋と骨の付着部を部分的に切除したり、関節鏡を使って変性した組織を除去したりするなどの方法です。しかし完治まで最大6ヶ月程度かかるだけでなく、経過も安定しにくいため、手術を行うケースはほぼありません。
ストレッチなどのセルフケア
セルフケアを行う場合に、ストレッチが基本です。手首や腕のストレッチを行えば、痛みが軽減することがあります。またできるだけ安静にして、肘を酷使する運動や仕事は痛みが引くまで避けましょう。
テニス肘を予防する方法
テニス肘を予防するために有効な方法は、以下の3つです。
<テニス肘を予防する方法>
- 肩や腕をストレッチする
- サポーターを使う
- 運動の直後はアイシングをする
順番に確認していきましょう。
肩や腕をストレッチする
肩や腕のストレッチをすると、肘の負担が減って痛みを抑えやすくなります。特に肘から手首にかけて外側にある前腕伸筋群のストレッチが有効です。肘から先をまっすぐに伸ばした状態で手首を折り、もう方状の手で曲げながら、前腕伸筋群を伸ばしてみましょう。
サポーターを使う
肘のサポーターを使えば、痛みの原因となる箇所への血流を遮断できます。テニス肘専用のバンドを使えば効果的に血管を圧迫できるので、軽い痛みや違和感を軽減させたい場合は試してみましょう。
運動の直後はアイシングをする
運動の直後など患部が熱を持っているときは、アイシングが効果的です。低温火傷をしないようにタオルなどで氷を巻き、肘に直接つけてケアしましょう。ただし、慢性的な痛みに対しては逆効果なので注意しましょう。慢性的なテニス肘の痛みを抑えるためには、反対に患部を温めた方が効果的です。
まとめ
テニス肘は、肘の酷使によって発生します。筋肉量の減少などが原因で発症リスクが高まるため、30代以降の方や女性の患者が多いことが特徴です。治療法はさまざまですが、副作用のリスクがある薬物療法や治療期間が長引く外科手術よりも、まずは温熱療法などの理学療法を試すと良いでしょう。
六本木カイロプラクティックでは、痛みの原因となる筋肉に対して圧迫を加えて、血流を促進させることでテニス肘の回復を促進します。状況や症状に応じて、さらに理学療法を行うことも可能なので、テニス肘にお悩みの方は当院にご相談ください。